住宅用地で大規模は共同住宅、マンション建設予定地などを測量した際、真北測量の依頼をお受けすことがあります。どのように真北を確定するべきかどうやって確認するの?という疑問がある方は、この記事で、太陽観測を使った測定方法、gnssを用いた代替法、真北の出し方や計算手順、測量図への書き方までを網羅します。また、確認申請に必要な図面作成における基準はどこですか?という疑問にも触れつつ、調べ方や費用、必要性もあわせて解説します。初心者でも理解できる構成で、真北測量を体系的に理解できる内容を目指します。
この記事でわかること
- 真北測量の代表的な方法と比較
- 各測定法における出し方と計算手順
- 確認申請に必要な測量図や図面への反映方法
- 費用や依頼時の注意点および必要性
真北 測量 やり方の基本を理解しよう
- 真北の測量はどうやって確認するの?
- 太陽観測を用いた真北の測定方法
- 真北測量の費用はどれくらい?
- 真北の基準はどこですか?に答えます
- 真北の方位角を出すための計算方法
真北の測量はどうやって確認するの?
建築設計や都市計画、測量業務などの実務において、「真北」は極めて重要な基準です。真北とは、地球の自転軸を基準に定義される北方向を指し、方位の基準となる「北」の中でも最も正確で物理的な基準に基づいています。これに対して、磁石が指す北である「磁北」や、地図上のグリッドに基づく「方眼北」は、用途や地理的位置により数度の差異が生じることがあり、特に建築物の配置計画や日影計算を行う際には、真北を正確に測定する必要があります。
真北の測量には主に以下の3つの方法が用いられています。
- ① 太陽観測方式:太陽の位置を観測し、天文データと照合することで方位角を算出する方法。高い精度を得られるが、天候に左右されやすい。
- ② ジャイロ方式:地球の自転によって生じる慣性を利用して真北を測定。天候に左右されず、精密な観測が可能。
- ③ GNSS方式:人工衛星からの信号を基に座標値を得て、基準点同士の方位角から真北を求める。気象条件の影響が少なく、近年注目されている。
たとえば、建築確認申請においては、建物が法的制限(北側斜線制限、日影規制など)を遵守していることを証明するために、真北に対する建物の配置角度が求められます。この際、真北の測定誤差が設計に影響を及ぼす可能性があるため、建築士や設計者は、測量士が作成した真北測量図を基に設計を進める必要があります。
実務では、トータルステーションと呼ばれる測量機器を使い、観測値をもとに方位角を算出します。たとえば、UDI確認検査株式会社の技術資料においても、太陽観測による真北算出方法が紹介されており、信頼性の高い測定方法の一つとして広く活用されています。また、オートジャイロステーションなどの真北測定機器を用いれば、曇天や夜間でも測定可能なため、天候に依存しない正確な測定が可能です。
真北の確認方法は、現場の立地条件や周辺環境、建築計画の目的に応じて選定されます。たとえば、視界が開けており、太陽の動きを正確に観測できる敷地であれば、太陽観測方式が最も効率的であり、費用も比較的抑えられます。一方で、周囲に高層建築物があり、太陽観測が困難な場合には、GNSS方式やジャイロ方式のような技術的手段が求められます。
精度の高い真北測量が求められる理由の一つは、行政手続きにおいて一定の方位誤差を超えると、建築許可や確認申請が却下される可能性があるからです。地方自治体によっては、測定方法や精度の証明書の提出を義務づけているところもあります。
このように、真北の測量は単なる方位確認にとどまらず、法令遵守、設計精度、安全性の確保に直結する重要な作業です。正確な測量を実施するためには、資格を持った測量士や調査士に依頼し、専門的な技術と実績に裏打ちされた測定を行うことが不可欠です。
太陽観測を用いた真北の測定方法

太陽観測方式は、測量業務における伝統的かつ信頼性の高い真北測定手法の一つです。これは、太陽の位置と時間情報から、観測地点の方位角を算出するという天文学的な原理に基づいており、現在でも多くの測量現場で採用されています。特に、機材の汎用性が高く、専用のトータルステーションと観測フィルターがあれば実施可能なため、導入コストが比較的抑えられる点も魅力です。
この方法の基本的な流れは次の通りです。観測者は、トータルステーションに太陽観測用のフィルターを取り付け、まず「正位置」で太陽を視準し、観測時刻と水平角を記録します。その後、機器を反転させた「反位置」でも同様に観測を行い、再び記録を取ります。この「正位置」と「反位置」の観測を最低2セット(理想的には3セット以上)行うことで、誤差を最小限に抑えた平均値を取得し、真北方向の方位角を求めることが可能になります。
その際に必要となるのが、「均時差」や「視赤緯」などの天文補正データです。これらの値は、文部科学省が発行する『理科年表』(国立天文台編)などの公的な資料から取得可能であり、毎年更新される情報を基に、観測日・時刻に対応した正確な値を取得する必要があります。
(出典:国立天文台『理科年表』)
ただし、この方式には注意点もあります。最大の課題は「天候」です。観測時に太陽が雲に隠れてしまうと、視準が不可能となり測定自体が行えません。加えて、観測には必ず正確な時刻の記録と、観測地点の緯度・経度情報も求められます。これらの情報を総合的に使用して、真北方向を高精度で導き出す必要があるため、経験豊富な測量士の技術が不可欠です。
自治体によっては、この観測結果を用いた建築確認申請書類に、「観測日・観測者・観測機器の種類・補正計算式・計算過程の記録」などを添付することを求める場合があります。これは、日影規制等における「建物の影の位置」の精度に大きな影響を与えるためであり、建築計画の透明性・妥当性を担保する意味でも極めて重要です。
したがって、太陽観測方式を採用する場合は、現地の観測条件と申請先自治体の基準を十分に理解した上で、適切な準備と記録が必要です。雨天や曇天が多い地域では、補完的にGNSS方式やジャイロ方式の併用も検討されることがあります。

真北測量の費用はどれくらい?
真北測量の費用は、測定方法、敷地条件、測定の難易度、提出書類の作成有無など、複数の要因によって大きく変動します。一般的には、単独で真北測量を依頼する場合、費用相場は5万円〜10万円程度とされていますが、これはあくまで参考価格であり、現場の条件に応じて前後します。
たとえば、ある土地家屋調査士事務所では、現況測量とセットで155,000円(税込)という価格設定を行っていますが、これは敷地の形状や面積、建物の有無、障害物の有無などによって変動します。特に、視界を遮る建物や植栽が多い場合や、太陽観測が困難な場合には、追加の観測や代替手法が必要となり、追加費用が発生する可能性があります。
費用を抑えつつ正確な真北測量を行うには、以下のようなポイントを事前に確認しておくと良いでしょう。
真北の基準はどこですか?に答えます

真北とは、地球の自転軸が指し示す「北極点」方向を指す、地球物理的な北のことです。この「真北(True North)」は、方位の基準として世界中の地図投影や測量の中核を成しており、建築・測量・地理情報システム(GIS)・航空航法など、さまざまな分野で活用されています。特に建築・都市計画分野では、日影規制や建物配置の正確なシミュレーションのために、方角の基準として真北を用いることが不可欠です。
一方、磁石が示す「北」は磁北(Magnetic North)と呼ばれ、これは地球内部の磁場の偏りによって生じる「磁気の北」を指します。日本国内でも磁北と真北には一定の差異があり、たとえば東京周辺ではおよそ7度程度、磁北が真北から西に偏っています(西偏)。このため、コンパスなどで示される方向は、建築確認申請や設計においては使用できません。
また、地図や設計図面で使われる「北」にはもうひとつ、「方眼北(Grid North)」と呼ばれる基準も存在します。これは、国土地理院の定める平面直角座標系に基づく地図上の北であり、図面上では直線的に真上を向く北方向として扱われます。しかし地球は球体であるため、平面直角座標系による投影では、真北と方眼北との間にわずかな角度差(収差角)が発生します。この差は地域によって異なり、図面においては収差を補正して真北を算出する必要があります。
国土地理院によると、日本全国には19の系統に分かれた平面直角座標系があり、それぞれの系ごとに中央子午線(真北方向と一致)を持っています。測量や建築において正確な方位を求める際は、この中央子午線を基準に方位角を補正する必要があるのです(出典:国土地理院「測地成果2011に基づく測量の手引」)。
このように、「北」という言葉には複数の定義が存在し、用途や目的に応じて適切な北を使い分けることが重要です。建築確認や敷地図面の作成では、常に「真北」が基準として用いられるため、磁北や方眼北との違いを明確に理解し、測量段階で正確な方向を取得することが設計全体の正確性を左右します。

真北の方位角を出すための計算方法
真北を正確に求めるには、単に方位磁針で北を確認するだけでは不十分です。真北方向を数値として表すには、「方位角(Azimuth)」を算出する必要があります。方位角とは、観測点から目標点までの方向を、真北を起点(0度)として時計回りに測った角度のことです。真北の方位角は0度、東は90度、南は180度、西は270度として表現されます。
真北の方位角を導き出す主な方法として、特に精度の高い測量において用いられるのが、太陽観測方式やGNSS(全球測位衛星システム)方式です。ここでは、太陽観測方式に基づいた計算手順を解説します。
太陽観測方式では、トータルステーションなどの測量機器に太陽観測用のフィルターを装着し、太陽の視準(正位置・反位置)を行って、そのときの水平角および観測時刻を取得します。このデータに加えて、「均時差」や「視赤緯」といった天文学的要素を用いて、方位角を算出します。
この計算には、以下の式が利用されます。
真太陽時 = 中央標準時 ± 均時差 ±(経度差 ÷ 15 × 60分)
この式により、観測地の正確な太陽時刻を得ることができ、太陽の方位角を逆算するための基礎情報となります。たとえば、均時差とは、地球の公転軌道が楕円であることと自転軸の傾きにより、実際の太陽の動きと平均太陽時(時刻)との間に生じる誤差のことを指し、最大で±16分ほどの差が発生します。
また、「視赤緯」とは、観測日の太陽の赤緯(地球の赤道面から見た太陽の位置)であり、これも年次で変化するため、「理科年表」や「国立天文台」が公表している正確なデータを参照する必要があります(例:出典:国立天文台 暦計算室)。
このように、真北方位角を求めるためには、天文データ、観測時刻、測角精度、補正計算などの多様な要素が絡み合っており、極めて専門的な手続きが必要です。一般的な建築現場では、測量士や土地家屋調査士といった専門家がこうした観測と計算を担い、計算過程を記録した「観測調書」や「測量成果報告書」を作成して、設計者に提供しています。
方位角の算出精度が建築の配置や日照計算に直結するため、機器の精度・天候条件・観測方法の選定にも高い注意が必要です。少しの誤差が、日影シミュレーションの結果を変え、確認申請に影響を及ぼすこともあるため、計算方法や根拠を明確に示した成果物の整備が欠かせません。

真北測量 やり方の実践と専門家への依頼

- GNSSを活用した高精度真北方位の算出技術の現状と応用
- 建築確認申請における真北方位測量の法的役割と要求精度
- GNSSを使った真北の出し方とは
- 測量に必要な確認申請との関係
- 真北を反映した測量図の見方とは
- 真北測量の課題と今後の展望
- 真北測量のやり方のまとめと依頼時の注意点
GNSSを活用した高精度真北方位の算出技術の現状と応用
近年の測量技術は、衛星測位技術の飛躍的進歩により真北方位の取得方法に大きな革新をもたらしています。特にGNSS(Global Navigation Satellite System)は、GPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(欧州連合)、および日本の準天頂衛星システム「みちびき」など、多様な衛星群を利用することで、多角的かつ高精度な位置情報の提供を実現しています。これらのGNSSを用いることで、従来の地上基準点に依存した測量手法を超え、天候や時間帯に左右されない継続的かつ安定した真北方位の算出が可能となりました。
真北方位の算出においては、最低2点間のGNSS観測によって得られる緯度・経度・標高情報から、これらの座標差をベクトル化し、北を0度とする時計回りの角度「方位角」を算出します。この方位角は、地図投影法に基づく「方眼北(グリッド北)」に対応しているため、理論上の真北とはわずかな角度差を生じます。この差分は「収差角(グリッド偏差)」として知られ、地域の緯度や地図投影系によって異なるため、国土地理院が公開している詳細な補正データを基に正確な天文補正を行う必要があります。具体的には、測量現場の座標をもとに収差角を算定し、補正することで、真北方位との整合性が確保されます。
このGNSS方位算出法の最大の強みは、天候や昼夜の制約を受けずに測量が可能である点です。太陽観測に依存する旧来の手法とは異なり、雲天や夜間でも観測が行え、建設・測量現場の作業計画に柔軟性をもたらします。さらに、近年の技術革新により、リアルタイムキネマティック(RTK)測位やネットワークRTK技術の導入が進み、衛星信号のリアルタイム補正が可能となりました。これにより、数センチメートル単位の高精度測位が実現し、真北方位の誤差を大幅に削減できるようになっています。
一方で、GNSS方式には技術的な注意点も存在します。真北方位の高精度算出には、最低でも2点間の衛星観測データが正確であることが前提であり、都市部の高層建築物や森林など衛星信号の遮蔽が多い環境では信号受信が不安定になり、精度低下のリスクがあります。また、収差角補正の誤りは真北方位のずれに直結するため、補正計算には国土地理院の公式データや天文値の正確な適用が不可欠です。このため、熟練した技術者による適切な補正処理と観測計画の立案が求められます。
実務の現場では、多くの土地家屋調査士や測量専門企業がGNSS測量機器を導入し、国土地理院の電子基準点ネットワーク「GEONET」を活用しています。GEONETの基準点は全国に配置され、各点の高精度座標情報を基に基準点間の方位を算出し、これを基準とする真北方位決定が標準的な手法となっています。特に都市部の複雑な環境では、GNSS測量にジャイロコンパスや太陽観測などの補完的手法を組み合わせることで、観測の信頼性向上を図っています。
日本国内における真北算出の公的基準としては、国土地理院が提供する電子基準点データの活用が一般的です。これらのデータはGNSS衛星からの信号を基に24時間体制で補正されており、常に最新の正確な座標情報が公開されています。GNSS真北測量の計画時には、これら公式データの利用が推奨されており、より高精度かつ信頼性の高い測量成果の確保に寄与しています。(出典:国土地理院「電子基準点(GEONET)」https://www.gsi.go.jp/ENGLISH/geonet_english.html)

建築確認申請における真北方位測量の法的役割と要求精度
建築計画における確認申請では、真北方位の正確な特定が不可欠な基礎データとして位置付けられています。特に日影規制や北側斜線制限といった環境保全規制の適用に際しては、敷地や建築物の配置を真北を基準に評価することが法律上の必須要件です。これらの規制は建築物による周辺環境への影響を最小限に抑えるために設けられており、真北方位が誤って設定されると、日照権の侵害や周辺環境の悪化を招くリスクが生じます。
例えば、日影規制の適用においては、冬至日を代表とする日射条件の厳しい時期を基準に、建物が周辺敷地にどの程度の影を落とすかを3次元モデルや日影図を用いて算出します。このプロセスで使用する方位角が真北に基づかない場合、日影評価に誤差が生じ、自治体の審査で指摘されることはもちろん、最悪の場合には確認申請の却下や修正命令が発生します。したがって、多くの自治体は申請時に真北方位測量の詳細な方法論、観測条件、補正計算の根拠を明示した資料の提出を求めており、これらは単なる技術的参考資料ではなく、法的に重要な証拠資料とみなされています。
具体的な自治体の要求例としては、以下の項目が挙げられます。
- 真北方位測量の実施方法(例:太陽観測法、GNSS測量法、ジャイロコンパス法など)
- 観測日時・観測時間の正確な記録
- 使用機器の種類、製品名及び仕様の明示
- 観測担当者の氏名および資格登録番号(測量士登録番号など)
- 補正計算の根拠と参照データ(例:国土地理院の電子基準点データや理科年表等)
これらの詳細な情報を含む申請資料が欠如している場合、審査官から是正指示や再提出要求がなされることが多く、確認申請の遅延リスクが増大します。したがって、建築士や設計者は事前に申請先の自治体の建築確認要領や日影規制ガイドラインを十分に確認し、必要な測量精度や成果物のフォーマットに合致した真北方位測量を依頼することが不可欠です。これにより、確認申請手続きの円滑化と法令遵守の確実な実現が図られます。
法的手続きにおいては、真北方位測量は単なる設計上の補助情報を超え、建築物の環境影響評価や都市計画法の適合性審査に直結する重要な根拠資料であるため、その信頼性と透明性を高めることが業界全体の共通認識となっています。
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GNSSを使った真北の出し方とは
測量技術の進歩に伴い、真北の測定方法も多様化し、現在では衛星測位システムであるGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用した手法が広く実務に取り入れられています。GNSSは、アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo、日本の「みちびき」など複数の国際衛星システムを総称したもので、これらが互いに補完し合いながら高精度の位置情報を提供しています。こうしたシステムを活用することで、地表の任意の地点の緯度・経度・標高を精密に取得でき、その座標の差分から方向を割り出すことが可能です。
真北の算出は単純に衛星から得られた座標情報を利用するだけでなく、観測した2点間の座標差から算出される「方位角」に対して、地球の形状や地図投影の影響を考慮した「天文補正」を施す必要があります。具体的には、地図上の北方向は「方眼北」と呼ばれ、真北とはわずかに異なるため、そのズレを「収差角(グリッド偏差)」として補正します。この補正値は地域によって異なり、国土地理院が公開している投影座標系のデータや、電子基準点の情報を用いて正確に算出されます。これにより、GNSSデータから算出される方位角が真北方向と合致するよう補正されるのです。
GNSSを使った真北測定の大きな利点は、観測が天候や時間帯に影響されにくいことにあります。太陽観測法のように晴天であることや昼間であることを必要とせず、夜間や曇天時でも安定して測定が可能です。さらに、RTK(リアルタイムキネマティック)技術やネットワーク型RTK補正を活用することで、誤差が数センチメートル程度に抑えられ、実務で求められる高精度な測量が実現しています。RTKは衛星信号の誤差を地上局からの補正情報でリアルタイムに補正し、位置精度を大幅に向上させる技術です。
しかしながら、GNSS方式にも技術的な制約があります。まず、真北を正確に求めるためには最低2点以上の基準点間での正確な座標取得が不可欠です。さらに、都市部など高層ビルや樹木などの遮蔽物が多い環境では、衛星信号の受信が妨げられ、位置精度が低下する恐れがあります。これらの問題は、多点観測や補完的な測定技術(ジャイロセンサーや太陽観測法の併用)によって補うケースが多いです。また、収差角の補正処理を誤ると真北からの方向ずれが生じるため、補正計算には専門知識と高度な技術が求められます。
実務の現場では、多くの測量士や土地家屋調査士がGNSS対応の専門機器を用いて、国土地理院の電子基準点(GEONET)を基準とした測量を行っています。電子基準点は全国に約1,300点設置されており、これらは高精度な位置情報を提供し、GNSS測量の基準点として機能しています。こうした基準点を活用することで、基準点間の方位を算出し、補正処理を行ったうえで真北を導き出すことが可能です。国土地理院のデータは、GNSSを活用した測量において信頼性の高い基準情報として広く用いられています(出典:国土地理院「電子基準点(GEONET)」https://www.gsi.go.jp/ENGLISH/geonet_english.html)。
GNSSによる真北測量は、測量の効率性と精度を両立する技術として、今後も建築・土木・インフラ整備分野での活用が拡大すると予想されます。これに伴い、観測技術の習得や補正方法の理解は、測量技術者にとって不可欠な専門スキルとなっています。

測量に必要な確認申請との関係
建築物の計画・施工において法令遵守は極めて重要であり、その中でも「真北の特定」は建築確認申請において不可欠な要素の一つです。真北を正確に把握することで、建築基準法に基づく環境規制、特に「日影規制」や「北側斜線制限」といった建築物が周辺環境に与える影響の適切な評価が可能となります。これらの規制は、建物の配置や形状が日照や通風に与える影響を最小限に抑え、住環境の質を維持することを目的としています。
日影規制では、特に冬至の日の太陽高度が最も低くなる時期を想定し、周囲の建物や敷地にどの程度の影を落とすかを3Dシミュレーションを用いて評価します。ここで用いる方位基準が誤っていると、日影の範囲や時間の予測にズレが生じ、法令上の規制判断に重大な誤差が発生します。結果として、確認申請が却下されるリスクが高まるため、正確な真北測量の成果物は申請図書の必須資料として扱われています。
各自治体では、真北測量に関する詳細な提出要件を設けている場合が多く、以下のような情報の記載が求められることが一般的です。
- 測定方法の明示(例:太陽観測法、GNSS測量法、ジャイロ測量法)
- 観測日時・時刻の正確な記録
- 使用機器の機種名や仕様
- 観測担当者の氏名と測量士登録番号
- 補正計算の手法及び参照した基準データの詳細(例:電子基準点の座標情報、理科年表の天文データ)
これらの情報が不十分な場合、審査担当者からの是正指示や再提出要求が発生し、申請手続きの遅延や計画変更を余儀なくされるケースも散見されます。したがって、真北測量は単なる設計の参考情報ではなく、法的適合性の判断に直接影響を及ぼす重要な法定資料の一部として扱われるべきです。
設計者や建築士が真北測量を依頼する際は、計画地を管轄する自治体の「建築確認要領」や「日影規制ガイドライン」などを事前に確認し、求められる測量精度や提出資料のフォーマット、必要な技術的要件を理解することが肝要です。これにより、申請手続きがスムーズに進み、後のトラブルを未然に防止できます。
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真北を反映した測量図の見方とは
真北測量の成果は、最終的に「測量図」や「観測調書」という形式で提出され、これが建築設計の根拠資料として活用されます。これらの図面や資料には、単に敷地の形状や境界線を示すだけでなく、真北の方向を明確に示す「真北線」や、方位角の具体的な数値が必ず記載されています。正確に真北が表示されていることで、設計者、施工者、審査担当者間の情報共有が円滑に行われ、設計上のミスや解釈の相違を防ぐ役割を果たします。
測量図に記載される主な要素は以下の通りです。
- 真北線:図面上で真北方向を指し示す矢印や線分。角度表記が付されていることが多い。
- 方位角の数値:観測した基準点間の方位角(北を0度とし時計回りに測定した角度)を示す具体的な数値(例:23°15′)。
- 観測点位置:真北測量に用いた基準点の名称や座標が明示されている。
- 測量方式の記載:観測に用いた手法(GNSS、太陽観測、ジャイロ測量など)が図面や注記に明記される。
さらに、測量図に添付される補助資料として「真北観測調書」や「観測手簿」があります。これらには観測時の詳細条件(天候、日時、機器設定、観測回数、計算根拠など)が詳述されており、真北測量の客観的な証拠資料としての役割を果たします。自治体の審査過程で追加説明や確認を求められた場合には、これらの資料が重要な根拠となります。
正確な真北の表記は、建築配置の決定や開口部設計、日影評価、断熱設計など、多岐にわたる設計プロセスの基盤となります。測量成果をCADやBIMに取り込む際には、座標系の整合性を厳密に確認し、意図しない図面の回転や縮尺の誤差を防ぐことが不可欠です。これにより、設計と施工の各段階で方位情報の齟齬を回避し、計画通りの建築物の実現を支援します。

真北測量の課題と今後の展望

真北測量は建築や土木の設計・施工に不可欠な基盤技術ですが、実務にはいくつかの課題も存在します。例えば、測量機器やソフトウェアの高度化に伴い、データの取り扱いが複雑になる一方で、技術者のスキル格差が拡大しやすい点です。特にGNSS測量では、補正計算や基準データの適用に専門知識が必要で、誤った運用は誤差の拡大や申請不備に繋がります。また都市部や山間部などの環境要因による電波遮断も完全には解決されていません。
今後は、AIやIoT技術の導入によって観測データの自動解析や異常検知が進み、測量の精度と効率が一層向上すると期待されます。さらに、ドローンやロボットによる自動測量も進展しており、人手不足の解消や難環境下での測量実施に貢献するでしょう。国や自治体による電子基準点ネットワークの整備や情報公開も進み、より正確で信頼性の高い真北測量が実現されていくと考えられます。
これらの技術革新に伴い、測量士や建築士は最新技術を積極的に習得し、測量成果の品質管理に努めることが重要です。加えて、自治体や関係機関も適切なガイドラインの策定・更新を行い、正確な真北測量の普及を支援していく必要があります。こうした取り組みによって、安全・安心な都市環境と良好な住環境の形成が促進されるでしょう。
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真北測量のやり方のまとめと依頼時の注意点
- 真北 測量 やり方は太陽観測とジャイロ測定など複数の方式が存在する
- 太陽観測方式は晴天時に正確な観測データが得られるが天候依存性がある
- オートジャイロステーションなど自動測定器は天候の影響を受けにくい
- GNSS方式は天候に左右されず補正を含めた計算処理が必要となる
- 真北測量費用は5〜10万円程度が目安だが条件次第で変動する
- 確認申請時には真北測量結果が設計検討に不可欠な資料となる
- 図面には真北線や方位角を明示する必要があるのが一般的である
- 真北の基準は磁北・方眼北と異なり自転軸方向に準じるものである
- 計算には均時差・視赤緯・経度補正など天文補正処理が伴う
- 真北の調べ方は観測法・座標計算法の両立方式が実務的である
- 依頼時には測量会社や土地家屋調査士が対応可能であることを確認すべきである
- 真北 測量 やり方を正しく理解した上で専門家へ任せるのが安全な選択である


